作品解説
人生の飛躍となるであろう、数年間に及ぶ予定の海外留学行きの当日。若いカップルが希望に胸を躍らせて旅立ちの支度をしながら、別れを惜しむ訪問客たちの相手をしている最中、事件は起きる。希望の日に突如発生した異常事態に彼らはどう対応するか?
事件発生後の展開が工夫に富んでおり、途絶えることのない緊張感が観客の心臓をわしづかみにする。その脚本の上手さは、アスカー・ファルハディ監督の影響を真っ当に引き継いでいると言えるだろう。特別な日であるが故の特殊な心理と、その果てにとってしまう行動の関係を描いて見事である。ファルハディ作品の常連で、近年のイラン映画の金字塔である『別離』(11)でベルリン映画祭の主演男優賞を受賞しているペイマン・モアディが、自分の取った行動に自分が縛られてしまう若い夫の役を説得力充分に演じている。室内劇であることを見終わるまで忘れてしまうほどの見事な演出が新人監督によるものであるという事実が、現在のイラン映画の充実ぶりを証明している。
●東京国際映画祭オフィシャルニュース 映画.com ニュース
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○オフィシャルレポート
→11/13:「映画の歴史の中で、私たちの記憶に残るものはハッピーエンドの映画ではない」コンペティション『メルボルン』-10/30(木):Q&A
→11/4:「作品を書くときは、まず自分が感動すること。自分がストーリーを咀嚼していなければ相手にも伝わらないと思います」公式インタビュー コンペティション 『メルボルン』
→10/30:「自分たちの中でも、チャレンジがありました。」コンペティション『メルボルン』-10/25(土):Q&A