作品解説
1980年代イラン=イラク戦争の最中。戦死した兵士の柩がクルドの村に戻るが、イラン・イラク戦争(1980~88)の時代。クルドの村のムスリム一家のもとに、戦死した息子の柩が届けられる。葬儀の準備を進めていると、遺体に割礼のあとがないことが分かり、別人ではないかとの懸念が広がる。隣のキリスト教徒の一家に打ち明けたところ、それは自分たちの息子ではないか、との疑いが広がり、町は大騒動になっていく…。イラン・イラク戦争の犠牲者は両国で100万人(推定)にのぼるといわれ、91年の湾岸戦争をはじめ、その後の中東情勢に大きな影を落とした。イドレス監督はジャーナリストとしてキャリアを開始し、その後テレビ業界で働きながら短編映画を撮りはじめた人物で、バフマン・ゴバディ(『亀も空を飛ぶ』)らと並ぶクルド映画人として注目されている。長編デビューとなる本作では、コミカルな場面を挟みながら戦争に翻弄される庶民を描いている。中に横たわるのは別の遺体だった。村は騒動になり…。ユーモラスな中にも反戦メッセージをそなえた、世界で話題のクルド=イラク作品。
○オフィシャルレポート
→10/29:「私たちのことを少しだけで結構ですから、尊重してください。」ワールド・フォーカス『遺灰の顔』-10/25(土):舞台挨拶