作品解説
都会から遠く離れたある村で、不思議な事件が次々と起こる。森の中からうめき声が聞こえ、牛が変死し、交差路で男が血を流して横たわり、家々は炎に包まれる。政府軍が頻繁に周回し、乱暴な民兵たちが地域を制圧する。そして1972年、フェルディナンド・マルコス大統領がフィリピン全土に戒厳令を宣言する…。前作『北(ノルテ)―歴史の終わり』(TIFF13出品)に続くラヴ・ディアスの新作は、マルコスが独裁体制を固めた70年代の僻地の村を舞台にした5時間半を超える驚愕のドラマ。『北(ノルテ)』で展開された、フィリピンにおけるファシズムの起源を問うというテーマは、本作にも継承されている。「実際の出来事と人物をもとにした本作は、個人的・集団的精神が社会的・身体的環境のなかでいかに巨大で謎めいた変貌を遂げるかを示している」と監督は語っている。ロカルノ国際映画祭大賞(金豹賞)を受賞。
○オフィシャルレポート
→10/30:「時代の幕開けとその直前にあたる頃のことを本作に描いています。」ワールド・フォーカス『昔のはじまり』-10/24(金)舞台挨拶+Q&A