作品解説
小学校の教室で生徒のお金が盗まれた。担任の女教師は何度も盗んだ生徒に申し出るように促すが、犯人は出てこない。家に帰ると、夫の借金が突然判明し、彼女は返済に追われることになってしまう…。本作は、おカネのモラルを教えている本人が金銭トラブルに巻き込まれていく皮肉な状況を、緊張感たっぷりに描く人間ドラマである。実際の事件から着想を得て作られたという脚本が巧みであり、事態が悪化していく中で、打つ手が全て裏目に出てしまう時の焦燥感が手に取るように伝わってくる。これが長編デビューとは思えないほど、ふたりの監督は映画におけるリアルなサスペンスのあり方を徹底的に研究しており、観客の心を掴んで離さない。女教師の災難のドラマである一方で、経済に支配される現代社会の矛盾という普遍的要素が底流する物語でもあり、世界のどこでリメイクしても通用する内容である。日常に隣接した出来事の意外な展開をリアリズムで描く手腕に長けた、期待の新人コンビの誕生である。
●東京国際映画祭オフィシャルニュース 映画.com ニュース
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○オフィシャルレポート
→11/13:「本当に隅に追いやられてしまうと、正しい選択をできるようなオプションがない」コンペティション『ザ・レッスン/授業の代償』-10/30(木):Q&A
→11/12:「一番インスピレーションを受けたのが、先生が銀行を襲ったというところ」コンペティション『ザ・レッスン/授業の代償』-10/28(火):Q&A