作品解説
構えただけで惨事を起こすカメラについての映画はどうだろう?映画監督が、新しい企画を考える一方で自分の老いと向き合い、キャリアも見つめ直していく姿を描く。
2010年の東京国際映画祭で上映された前作『ハンズ・アップ!』が、一部で熱狂的な支持を受けたロマン・グーピル監督の新作。グーピル自身が演じる映画監督が老いを自覚しながら世界を見つめていく様を軸に、実生活とドラマとが自由に交差し、ユニークな世界が展開する。ドラマ部分と、過去に撮影したドキュメンタリーの映像が組み合わさることで、内面の葛藤や子供たちの成長の記録といったミクロな視点と、現代社会に対するスタンスというマクロな視点が並置される。長編フィクションに加えてドキュメンタリーや短編などを数多く手掛けてきたグーピル監督ならではの世界であり、キャリアの集大成的な作品である。映画作りに関する映画という「メタ映画」の側面ももち、今作で映画監督をやめるのではないかと思わせる内容もあるが、監督一流のユーモアに貫かれ、ペシミズムともシニシズムとも微妙に異なる、老年手前世代の微妙な心情が絶妙に描かれた、極めて巧みで稀有な逸品。
●東京国際映画祭オフィシャルニュース 映画.com ニュース
⇒ 10/25:「来るべき日々」ロマン・グーピル監督「私ができることは世に疑問を投げかけること」
○オフィシャルレポート
→11/12:「どこまでが撮影でどこまでがそうじゃないか、何が本当で何が嘘か全くわからなくなっていました。」コンペティション『来るべき日々』-10/29(水):Q&A
→10/30:「この作品は梅本洋一さんへのオマージュです」コンペティション『来るべき日々』-10/25(土):Q&A