作品解説
両親を亡くした15歳のアンディは、フィリピン北部にある祖父の家で暮らすことになる。ふさぎ込んだままの孫の姿を見かねた祖父は、かつて両親が登った山に一緒に登ることを提案する。最初は気乗りがしなかったアンディだが、ようやく祖父と夜通しの登山に出発する…。アンディ役のルル・マドリッドはテレビを中心に活躍している新進スター。特筆すべきはフィリピン・ロック界のカリスマ、ぺぺ・スミスが本作のキーパーソンともいうべき祖父に扮していることだろう。監督のペペ・ジョクノは弱冠27歳の新鋭で、デビュー作の“Clash”(09)でヴェネチア映画祭新人監督賞(未来の獅子賞)を受賞している。2作目となる本作はフィリピンとフランスの合作だが、フィリピン側の女性プロデューサー、ビアンカ・バルブエナも20代と若く、東京フィルメックスの「タレント・キャンパス・トーキョー」に参加した経験を持つ。
◆監督メッセージ
本作は人の死がもたらす悲しみについて描いています。これは私にとって私的な旅のようなものです。2009年にケッツァーナ台風が故郷のマニラを襲い何百人もの人々が亡くなった時にインスピレーションを得て、11年に祖母を亡くした経験をもとに構想を練りました。人は愛する者を失うと必死になってその思い出を生きたものにしておこうとする、これが本作の中心をなす考えです。悲しみとは、愛した人ともう二度と一緒にいられないという思いから生じます。そして希望とは、その人の思い出を大切にしている限り、その人は心に生き続けると悟ることから生まれます。この映画は悲しみと希望の狭間を進む旅ですが、最終的には絶望のなかにも希望を見出し、人生を立て直すことができるのです。
●東京国際映画祭オフィシャルニュース 映画.com ニュース
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○オフィシャルレポート
→11/11:「お2人の個性がどういう風に反応しあうかな、というのを見ていました。」アジアの未来『雲のかなた』-10/27(月):Q&A