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2014.11.11
[イベントレポート]
「お2人の個性がどういう風に反応しあうかな、というのを見ていました。」アジアの未来『雲のかなた』-10/27(月):Q&A

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©2014 TIFF

10/27(月)、アジアの未来『雲のかなた』の上映後、ペペ・ジョクノ監督、俳優のルル・マドリッドさん、 ペペ・スミスさん、プロデューサーのビアンカ・バルブエナさんのQ&Aが行われました。
作品詳細
 
 
ペペ・ジョクノ監督(以下、監督):僕は日本語を練習してきました。
(日本語で)「本日はお越しいただきありがとうございます!」
ここにいらっしゃる皆さんがこの映画を初めて観るのですね。実はこの映画に3年かけました。ですから、赤ちゃんが生まれて初めて歩いた瞬間、今日は正にそんな瞬間ですね。だから、自分でもドキドキしているのですが、皆さんが立ち去らずにQ&Aまで残っていただいたということをとても嬉しく思います。ぜひ、ご感想を聞かせてください!
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©2014 TIFF

 
ルル・マドリッドさん(以下、マドリッドさん):皆様、今日は本当にありがとうございます!そして東京国際映画祭も、僕たちみんなを映画とともにお招きいただきましてとても嬉しく思います。
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©2014 TIFF

 
司会:石坂PD:ルル・マドリッドさんはフィリピンのテレビでも大活躍ですね。
 
ぺぺ・スミスさん(以下、スミスさん):皆さん、来ていただいて、映画をご観賞いただいて愛しています!ロックンロール!
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©2014 TIFF

 
司会:石坂PD:ペペ・スミスさんは、いわばフィリピンのミック・ジャガーなんですね。
 
スミスさん:そう呼んでいただいても問題ないです。ミックはイギリスのペペ・スミスですから。
 
司会:石坂PD:ロックンロールと言う人はどこの国にもいるのですね。
 
スミスさん:双子の兄弟が日本に居るのかな、両親はどこ、誰なんだろうかっていうのを聞いてあります。
 
ビアンカ・バルブエナさん(以下、バルブエナさん):(日本語で)「日本大好き!」
この映画は、4年前から準備を始めて、3年かけて制作されました。本当に山あり谷ありでしたが、ここで皆さんにご覧いただけて嬉しく思います。ありがとうございます!
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©2014 TIFF

 
司会:石坂PD:このチームは、特に監督とプロデューサーが非常に若く、去年もフィリピンのアジアの未来では最年少チームだったんです。今年もフィリピンということになりますね。
 
スミスさん:一番若いのは僕なんだけど、66ですから。
 
司会:石坂PD:はい、分かっております。ビアンカさんも若いのですけれども、東京フィルメックスのタレントキャンパスにてプロデューサの勉強をされました。けっこう日本と馴染みの方ですね。
 
バルブエナさん:でも、この映画祭は初めてです。本当におもてなしを受けて、とても楽しんでいます。
 
Q:主演のお2人にお伺いしたいのですが、実際に年齢差がある共演ということで、色々難しかったことや苦労したこと、あるいは、面白かったことなどあれば教えていただければと思います。また、間違えでなければ、エンドクレジットの中にジュン・ロブレス・ラナ監督のお名前があったようですが、この映画にラナ監督、何らかの関係をお持ちだったのでしょうか?
 
マドリッドさん:年長者がいくか、ハンサムかどっちがしゃべるようにしようかな。難しい点というのは本当にありませんでした。もともとすごく僕たちは親しい関係を築いているので、シーンを撮るときも僕にとってはペペさんはおじいちゃん的存在であるので、そういった意味の難しさというのはなかったです。
 
スミスさん:そうですね、ルル君は私にとって孫のような存在ではありますが、実は、顔つきとかが息子に実際に似ているんですね。でも今回は本当に監督の意図を理解して、きちんと演技をして具現化するという監督の意図を汲み取ることが仕事でした。僕たちのカットでは難しさというのはなかったです。もちろん、僕たちはそれぞれ個人の世界観がありますけれども、演技をするという段階になれば、その世界を融合して、演技してシーンを作り上げたということです。もちろん難しさもありました。でも、終わった後すごく爽快な気分でしたね。喉に詰まった魚の骨をとったような爽快感が、撮影後にありました。
 
マドリッドさん:あと補足をすると、ペペさんが66歳でありながら子どもの心を持った方です。だからすごく遊び心があって、脚本を書く段階からペペさんしかいないなということを思って、そのお2人の個性がどういう風に反応しあうかな、というのを見ていました。
 
バルブエナさん:ジュン・ロブレス・ラナ監督は本当に友人なので、いろいろ応援をしてくださった御礼という感じです。もちろんクリエイティブな面で、私たちが助言を求めたことがありますが、フィリピンの映画界はとても小さいので、家族的な雰囲気ですね。
 
監督:そうなんです。本当に映画界が小さいので、みんなが知り合いなんです。実は、いろいろこの映画を作る上で、本当に困難に直面して、その際にラナ監督に色々助言を求めたりとかして、非常に優しく手を差し伸べて下さいました。
 
司会:石坂PD:ジュン・ロブレス・ラナ監督は昨年は『ある理髪師の物語』、一昨年が『ブワカウ』というワンちゃんの物語、2年続けて来ていただいた監督ですね。
 
監督:実は、映画の1作目を撮るときにまだ21歳でした。だから本当にどうすればいいか分からないことがいろいろあって、ブリランテ・メンドーサ監督であったりラヴ・ディアス監督といった大御所に、電話番号を調べて突撃で電話をかけたんですね。でも本当に快く助言を下さって、やはりフィリピン映画界は非常にお互いを助け合うという家族的な雰囲気があるので、そういったことの賜物だと思います。
 
Q:先ほど、問題に直面したということでしたが、どういうことだったのでしょうか?その問題ゆえに制作に3年かかったでしょうか?
 
監督:一番の困難は、資金集めですね。フィリピンの映画は二極化していると思います。安いバジェットで作るインディペンデント映画、これは大体7日から12日間で撮影を終えますね。あるいは、いわゆる予算の大きい主流映画、これは有名なキャストが出るような作品ですね。この僕たちの映画は非常に予算が必要だったんですね。ただ、フィリピンにおけるブラッド・ピットのような超有名なキャストが出ていないということで、非常にお金を集めるのに苦労して、個人の投資家などにも頼りました。あと、フランスや外務省ですね。「シネマ・デ・ルモンド」といった外国の、途上国の映画などを支援するファンド。こちらの方から資金を受けることができました。あとはロジスティックな面ですよね。本当に悪夢でした。というのも山であって山の頂上、川とか市場とかハイウェイとか、撮影しづらいところばかりで撮っていましたので、それが大変だったということですね。あと、最終日の撮ったシーンが600人のエキストラを使っての台風被害の避難所ですね。そこで、雨を降らせたりしたので、非常に低予算の映画として大変だったんですが、それをやってのけたビアンカさんのプロデューサーとしての力量と、才能だと思います。
 
バルブエナさん:もう一つ大変だったことは、このビッグなロックスターである60代の彼を山を登らせて、岩によじ登らせる。それをさせるということが大変でした。
 
Q:これはフィリピン北部で撮影されていますよね。この非常に象徴的な山ですけれども、ここを私の妹が良く登っていて、非常にショックを受けたのが、落書きがひどいですよね。ごみとか。それを削らずに映した監督は素晴らしいと思います。しかし、見た目もきれいな場所もいっぱいあったはずなのに、あえてそれを写した。その意図を教えてください。
 
監督:これは単純に答えられる質問ではないんですね。実は、これはひとつの山で、話が進んでいるように見えますが、いくつかの山のロケ地を使っているのです。ただ、頂上の部分というのはマウントプーナという山ですけれども、落書きのシーンといいますのは結構町に近いところで撮りました。これは、落書きは実はやらせというか、プロダクションデザイナーなどみんなでチョークで書きました。終わった後はちゃんときれいにしました。で、これにはメッセージがあります。祖父の家に古い写真がありましたよね?両親のアンディーの。それは、脚本を書いている時から思っていることで、僕の中には繋がりがあります。フィリピンが失ってしまったもの、ひとつは環境です。二番目、それは思い出、遺産。有形無形の遺産です。例を挙げるなら、フィリピンがとても美しい自然がある国なのに、それはもう北部の山でしか残ってないですね。北部はきれいなんですけれども、あの山の状態などはひどいですね、本当に森の面積が減ってしまいました。また、フィリピンには、100年を超える映画の歴史がありますが、古いプリントなどがきちんと保存されていないために、多くが失われてしまいました。そういった記憶が失われること。それと環境というのが僕の中では具現化といいますか、何か伝えたいということで繋がっているのですが、実際映画として繋がったのかというのは、ちょっと質問の続きがありますので。
もうちょっと補足したいのが、環境保護を訴えたいというのがあります。実は、フィリピンは世界で台風が一番多い国だと思います。毎年100人以上が亡くなっています。実は本作も2009年にカツアナ台風というのがありました。そこで400人以上の方がマニラで亡くなっています。実はこの映画の撮影中にもヨランダ台風、またはハイエン台風と呼ばれる南部の台風で9000人以上の人が命を落としています。なぜこんなに台風があるかというのは、気候変動によるものです。それを引き起こした理由、こんなに洪水が起きたりする理由というのが、僕たちが自然をきちんと守れなかったから、というところに起因すると思います。

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