作品解説
フィリピンのスラム街。冷酷な殺し屋が、暴力をふるわれている娼婦を助け、逃避行が始まる!
フィリピンにおけるデジタル時代の旗手と称されるケヴィン監督は、映像作家として既に膨大な数の作品を製作している一方で、詩人であり、そしてミュージシャンでもある才人である。本作は、目まぐるしい映像とパンクオペラ的な音楽がセリフ以上に雄弁に世界を語り、カオスの中から詩情が立ち込めてくるという展開を持ち、監督のマルチな才能が全て「ぶちこまれて」いる。悪夢や白昼夢の中のような出来事の中で、ディテールをカオスに放り込み、描くのは感情であると監督は語る。撮影に迎えられた豪州の名手クリストファー・ドイルは、スラムの底辺をひた走る浅野忠信演じる殺し屋と娼婦のエモーションを過激且つ甘美に捉え、監督の抱くイメージを具現化した。娼婦役のナタリア・アセベドはカルロス・レイガダス監督『闇のあとの光』(12)で女優デビューしたメキシコ人、そしてプロデューサーはドイツ人であり、真に国際的なアジア映画の誕生である。
●東京国際映画祭オフィシャルニュース 映画.com ニュース
⇒ 10/24:浅野忠信主演のフィリピン映画 鬼才ケビン監督とC・ドイル「映画はコンセプトではない」と語る
○オフィシャルレポート
→11/11:「人間としてできるだけのことをやった」コンペティション『壊れた心』-10/27(月):Q&A
→11/10:「お酒を一緒に飲もうと誘われたのかと思ったら映画撮影でした」コンペティション『壊れた心』-10/24(金):Q&A
→10/28:「制約があるほどコントロールが外れて、結果的にすごいエネルギーを発散する。まさにこの映画がそれでした」 公式インタビュー コンペティション 『壊れた心』