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2014.11.11
[イベントレポート]
「人間としてできるだけのことをやった」コンペティション『壊れた心』-10/27(月):Q&A

 
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©2014 TIFF
左からクリストファー・ドイルさん、エレナ・ガザンさん、ステファン・ホールさん、ケヴィン監督

10/27(日)、コンペティション『壊れた心』の上映後、ケヴィン監督、プロデューサーのステファン・ホールさん、撮影監督のクリストファー・ドイルさん、女優のエレナ・ガザンさんのQ&Aが行われました。
作品詳細
 
 
司会:矢田部PD:撮影監督のクリストファー・ドイルさんです。まったく段取りの説明が通用しないチームでありまして、前回スクリーン7も大パニックでございました。(クリストファー・ドイルさんの)ほとんどこのティッシュの意味が分からないんですけれども、「どうしてもこのティッシュを撒きたい。これが自分が知っている唯一のパフォーマンスだ」とおっしゃってまして。すごくナチュラルな方でまるっきり悪い人ではないというのがここ数日間で本当に理解できました。世界のクリストファー・ドイルさんです。
ケヴィンさん、ようこそ東京にいらっしゃいました。会場の皆さまに一言いただけますか。

 
ケヴィン監督(以下、監督):映画を観ていただいて、そしてQ&Aに残っていただいてありがとうございます。
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©2014 TIFF

 
クリストファー・ドイルさん(以下、ドイルさん):この映画を観た後にこんなにたくさんの人が残ってくださって、本当に驚いています。みなさんたくさん泣きましたよね?感動してね。
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©2014 TIFF

 
司会:矢田部PD:一番興味があるところだとも思いますので、前回と同じ質問をして申し訳ないと思いつつですが、浅野さんが出たきっかけについて聞かせていただけますか?
 
ドイルさん:僕たちが浅野さんを使ったという言い方をしたのですけど、違います。僕たちが使われたのです。
 
監督:彼は非常に素晴らしい俳優さんなので、彼と一緒に仕事をするというのはこの上ない喜びだからです。
 
ドイルさん:私は浅野さんと10本、一緒に仕事をしたんですけれども、彼はいつもこちらが欲しいものを完全に与えてくれます。本当に真実だけを与えてくれるんです。まさに浅野、ということでイチにもなるし、今回の役の優しい、愛人にもなりえるし、本当に彼は私が仕事をした中で一番素晴らしい偉大な俳優だと思っています。(監督に向かって)浅野さんが僕たちを特別な場所に連れて行ってくれたと思いませんか?
 
監督:そうですね。この映画の中のジープのドライバーみたいです。ジャンプスタートして、加速してとんでもないところに行ってしまいます。
 
Q:この映画はきっと大枠の脚本があったとは思うのですが、”Ruined Heart”という音楽が、最後はフランスバージョンで出ているし、レクイエムもあり、という風にしていましたが、やはり音楽を先に書いたのですか?それとも、映画の脚本をお書きになり音楽を最後に作ったのか。最後に作ったということはないとは思うのですけれども。
 
監督:もともとは詩でした。ポエムだったんです。その詩が3年前に短編映画になりまして、そしてその後この映画になりました。まあ、脚本のようなものはありましたが、脚本というよりは地図みたいなものでした。私が最初にこの曲のメロディを作曲しまして、そして映画を撮ってその後でポストプロダクションで、音楽を他のアーティストとコラボレーションしたり、音楽を仕上げていきました。そしてその音楽に関してはステファン・ホールさん、プロデューサーの方も関わっていらっしゃるので、お話を聞こうと思っています。
 
ステファン・ホールさん(以下、ホールさん):素晴らしいプロセスだったと思うのですが、この『壊れた心』という映画の中で音楽はその映像と同じくらい、もしくは音楽のほうが重要と言っていいほど大切な役割を果たしています。この映画のエネルギーのもとであり、鼓動だと思っています。そして、音楽はそのポストプロダクションをベルリンでやった時に仕上げたわけですが、クリスが映像を、色合いなどを調整したものを作ってくれて、そして私たちの友人たちと一緒にレコーディングをして、編集を夕方にして、一晩で仕上げて、といったような非常にクリエイティブなプロセスを経ていきました。ですので、みなさん、この映画を観たあとで私の願いは、映画館を出た後でもまだ自分の頭の中に、心の中にこのメロディが残っていると良いな、というふうに思います。
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©2014 TIFF

 
Q:劇中で浅野忠信さんが、腕に小型カメラのGoProだと思うんですけども、あれを付けて撮影されたものが映ったりしますが、GoProを付けるというのはどなたのアイディアだったのでしょうか。
 

監督:いつも回っていたわけではないのですけれども、シーンの中で三輪車を回している時や、あるいは私の一番好きなシーンの一つなのですけれども、ドラマーのソロを叩いている時がありますよね。あそこのノイズが入っていたりしていて、あそこで回していましたが他はあまり回していませんでした。
 
ドイルさん:ポイントは、私たちがこうやって協力していく中でイメージメイキングをして映像を作っていく中で、何が一番大切だったかというと、エネルギーをシェアしたかった。そしてまた、他の形では出せないアイディアを提供したかった。つまり、音楽と光と動き、映画という形でシェアするということです。これは映画が自分で作っていた。映画のほうで勝手に出来ていった。人間としてはできるだけのことをやったという形で作っていきました。つまり、ハリウッドと逆なんですね。もともと絵コンテがあってストーリーボードがあって、というような形で作り込んでいったわけではありません。続編があるわけでもないし、昨夜みんなで酔っ払っていた時に「続編作ろう」という話が出まして、ソイクーバじゃなくてソイソースにしようという話があったんですけれども、でも私たちがみんなコラボレーションして協力してやってきたのは「映画を探す」ということなんです。「映画をつくる」ということではなくて。そして映画を探し続けた結果がここにみなさんにご紹介した映画になったわけです。もともと、ちゃんとしたストーリーがあったわけではありませんし、絵コンテをしっかり作り込んでストーリーボードを作って、と作ったわけでもありません。そして、他の人がお金を出して「こういう風にしなさい」という形で作ったわけでもないですし、ハッピーエンディングでもありません。これは『壊れた心』です。
 
監督:ある意味でこれはピランデルロ(ルイジ・ピランデルロ 20世紀のイタリアの劇作家、小説家、詩人)にインスピレーションを受けたんですけれども、6人のキャラクターが出てきて、という形で。
 
ドイルさん:質問があるんですけど。(エレナ・ガザンさんに対して)あなたへの質問ですけども、ちゃんと答えてくださいね。素晴らしいインド訛りがあるのに台詞が一つもなくて残念じゃなかったですか?
 
エレナ・ガザンさん(以下、ガザンさん):台詞はあったけど聞こえないだけよ。台詞は喋っていたんだけれども、他の人がいろんな言葉を一緒に喋っていたので、ちゃんと聞こえなかったんです。私はヒンディー語を喋っていて、浅野さんは日本語を喋っていて、ナタリアはスペイン語を喋っていて、他の人はタガログ語かフィリピンの他の方言を喋っていました。みんなが同時に喋っているとなにが喋っているか分からないのですけれども、でも、それがよかったと思います。より真実を帯びたと思うんです。お互いに目を見合っていて、それが大切で言葉は本当に二次的なものになっていくというふうに思いました。
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©2014 TIFF

 
ドイルさん:それがアジア映画だよね。アジア映画ってそういうことだよね。その空間をシェアするということ。
 
ガザンさん:あとウサギも喋っていたんですね。ブタもキーキーと言っていましたけれども、箱を開けたらウサギがキーキー言っていたのでウサギも喋っていたと思います。
 
ドイルさん:なんで犬は同じ言葉を喋るんだろうか?
 
ガザンさん:いや、犬は違う言葉を喋っています。日本語ではブタの鳴き声はどうやって言いますか?英語ではオインク、オインク。
 
ドイルさん:ドイツ語ではなんていうの?
 
ガザンさん:クオンズ、クオンズ
 
ドイルさん:タガログ語では?なんてマルチカルチャーな多文化的な映画なんでしょうね、これは。ブタがウサギ語を喋っています。
 
Q:音楽にもとても感心したのですけれども、一緒にコラボレーションしたのがドイツでとても有名なスタジオだったということで、すごくこの映画の中で力強く使われていたので、すごいなと思いました。
 
ホールさん:『UNDERWATER LOVE -おんなの河童-』というのは、私が一番最初に制作した映画なんですけども、『UNDERWATER LOVE -おんなの河童-』を作った時に”STEREO TOTAL”というアーティストとコラボレーションしたのですが、その時にすごくうまくいったので、また今回も彼らと一緒にコラボレーションすることにしました。いくつかの章と短編が出てくるのですが、音楽ビデオ、ショートビデオ、ミュージックビデオということで、スコット・マシューズとか今、話が出ましたSTEREO TOTALといったようなアーティストが出てきます。
 
Q:様々なゲスト、いろんな国籍の方が出演されていて非常に面白かったのですが、どうやってキャスティングをなさいましたか?
 
ガザンさん:私に限って言いますと、私はフィリピンに来てフィリピン料理を食べたかったんです。まずそれが目的で、その後いろんなことがついてきたんですが、それがフィリピンに来た理由でした。
 
監督:浅野さんとか、ナタリア・セベドはポーランドで知り合ったんですけれども彼女の映画(カルロス・レイガダスの『闇のあとの光』)が上映されたあとでした。そして私の前作『モンドマニラ』にも出ていただいてお互いに一緒に仕事をしたいと思っていました。
他にフィリピンのスターが出ていまして、普通の意味での俳優さんではないんですけれどもアンドレはマーシャルアーティストです。けれども、演技も素晴らしいと皆さんご覧になってわかると思います。そしてヴィム・ナデラという方がゴッドファーザー役で出ていますけれども、彼は美術学校の校長先生でいらっしゃって、私が若いとき詩なんかを書いていたときに非常にインスピレーションを与えてくれた人です。

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