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2014.10.28
[イベントレポート]
「やってみたら確かに面白かった」特別招待作品『THE NEXT GENERATION パトレイバー/エピソード10:暴走!赤いレイバー』-10/24(金):Q&A

 
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©2014 TIFF

10月24日(金)、特別招待作品『THE NEXT GENERATION パトレイバー/エピソード10:暴走!赤いレイバー』の上映後に、押井守総監督とチーフプロデューサーの宮下俊さんのQ&Aが行われました。
作品詳細
 
 
Q:お二人からこれからご覧いただくフッテージや、長編劇場版の見どころ、こだわったところなどなど、お話しいただきます。まず押井監督から長編劇場版のこだわったところ、見どころを皆さまに。
 
押井守総監督(以下、監督):まずは、グレーコーストってのはヘリコプター、戦闘ヘリですが、これが東京に出現して大暴れっていう、そこが見所ですね。これを迎え撃つのがですね・・・これはちょっと言えない。アクションに関しては、世の中に珍しい所謂スカイアクションっていう、空の戦い。パトレイバーがどうかかわるかっていうか、そのへんが見どころといえば見どころ。これも先ほど(舞台挨拶でも)言いましたけれど、5人の女の戦い。第五の女が出てきます。第五の女性が、レイバーファンなら大体察しが付くだろう、あの方ですね。五人の女がですねぇ、それぞれの意地をかけて戦う。何と戦うのか。5人の女性にそれぞれ敵がいるんですね。敵というかライバルがいる。その仮想敵と戦う。単に敵と戦うだけじゃなくて女の意地をかけて戦う。5人の女性の女のドラマが芯になってます。大体パトレイバーという作品に限らず僕の映画ってのは強い女性、まぁ強い女性しか出てこない。大体男はみんなヘタレという関係なんですよ。世の中そうしたもんで、女の戦いってのは前からやってみたかったんですね。今回は5人まとめてやっちゃおうって。アクションとドラマ、二つのテーマになってます。いつかどこかで見た映画の焼き直しに見えるかもしれないけれど、実は全然違う。パトレイバーってのはいつも似て非なるもの、アニメでやったものをもう一度やる気はもちろん毛頭ないわけで。時間も経って世の中も変わりました。その辺の背景も合わせて結構贅沢に作らせてもらいました。鋭意製作中。製作までやっちゃった。やりたかったわけじゃないですけど。
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©2014 TIFF

 
Q:宮下さんはいかがですか?この映像がついに世に出るわけですが。
 
宮下 俊チーフプロデューサー(以下、宮下さん):実は20年前に押井監督とは『機動警察パトレイバー 2 the Movie』というのを一緒に参加させていただいたことがありまして。20年前に、今アニメだけれどもいつか実写でやりたいねといってたのが、本当にこうなるとは感無量であります。それで今一生懸命作ってます。ヘリコプターが飛び回ると監督がおっしゃってましたが、さきほどみなさん、この映画館に入ってきたとき、見てくださいと言わんばかりに9つのDOLBY ATMOSのスピーカーが、今光ってないんですけれどもグリーンの光で、ここにスピーカーがありますよってここにって…9×3スピーカーがあるそうなんですね。それで今までの7.1chとか比べて、ものすごく音が、定位がはっきりするというか、どこからどこに何が動いて、それがどれくらいの音量でってことが、いままでぼやけていた部分が、その間をどんどん補完していって全部できるようになったということを聞きましてですね。それも日本で初めてやらせてもらえるということで、押井さんがどうしてもヘリコプターをやりたいというもんですから、ヘリコプターの空中戦だったらDOLBY ATMOS使うしかないだろうということで。見ていただけるとよろしいかと思いますが。
 
Q:ありがとうございます。では早速ですね、最初の映像をご覧いただきたいと思います。では、ご覧下さい。 
 
(上映)
 
Q:皆さんから「おぉ~」と歓声が上がりましたね。如何でしたでしょうか、今の映像だけでもDOLBY ATMOSをもの凄い体感できる映像でしたね。
 
監督:ほんとはね、やりたくなかったんですよ。あのATMOSって面白そうだけどチャンネルが何十もあるでしょ?5.1とか7.1から見ると手間暇が数倍かかるんですよね。すべてのチャンネルに全部の音源をセッティングしていく、バランスをとって音とかを全部定位していく。たぶん今までのダビングの5~6倍かかるんだろうなきっと。で、どうしようかなと思ったんですよ。やっぱやめちゃおうかなって。で、後ろをパッと見たらね、録音部の親方がいて「監督やるべきです」。ボクはいいんだけど。効果やってるシバヤンが何ていうかなって。シバヤンって、日本の映画のかなり変わったおっさんなんですけど、あの人が何て言うかわかんないよ。真後ろにいて、睨んでるんですよ。まさかダメっていわねぇだろうなぁ、っていうように。そういう現場の圧力もありまして(笑)。何故かわかんないですけどボクが1本新しい映画を作る度に音響のシステムが変わるというジンクスがあってですね。5.1の時もドルビーの時も確か一番最初だったと思うんですけど。ただやってみたら確かに面白かった。特に今回ヘリコプターの絵が絡むので、上空を舞うヘリコプターの爆音とかですね、色んな音とかですね。非常に効果的に使える。そういう意味で言うとATMOS向きの作品だなということで。ただ、これ作るだけでも大変だったんですよ。
 
Q:今の1分30秒だけでも?
 
監督:これだけでも丸2日かかってるので!それを考えるとですね、1本の映画作るのにどのくらいの時間かかるんだろうと。そういう風なことで、ちょっと後悔してるし、やっぱり面白いことは大変なんでね。苦労なしには面白いことってできないんで。今は諦めて、ヤルっていう、そういう状況です。
 
Q:宮下さん、ヤルと押井さんおっしゃってますけど?(笑)
 
宮下さん:これは頑張ってもらうとしてですね。効果的に使えると思うんで、まぁ監督には頑張っていただくとして。ご覧になっていただいたと思うんですけど、パトレイバー2台どころかヘリコプターまで監督に作らされてしまいまして、今回ジョジョさんという素晴らしい美術の方をスタッフに招いたんですけれども、彼は素晴らしい、本当に時間のない中、実物大です、また。ロボットが2つとヘリコプター1つ作ってしまったということになるんですが。実物大のヘリがそこに存在するという事でしか得られない臨場感みたいなことが伝わればいいなと思ってます。
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©2014 TIFF

 
Q:先ほどご登壇いただいた森カンナさんがかなりクールなパイロットとして出演するそうですが、ハイバラの役ってどんな役柄なのか説明できる範囲で教えていただくことは?
 
監督:ほとんど推し量れないというか、まぁ、女であるという(笑)ハイバラっていう名前ですよ。ハイバラレイっていうんですけど、僕の好きな漢字を3つくっつけたんですけれども。グレイガーホストンハイカラな幽霊と呼ばれているヘリコプターなんですけれども、なぜハイカラな幽霊なのかは次のフッテージ見てもらえばわかるというか。
 
Q:なるほど。次の映像に参りましょうか。次も約1分30秒あります。ではご覧ください。
 
(上映)
 
Q:押井監督、ヘリはなぜ消えていたんですか?
 
監督:あれ、昔からやりたかったんですよね。光学迷彩のヘリコプターなんですね。見てもらって分かる通り、原始的?なステルスもあるんですけれども、基本的には液晶パネルでボディーを作って後ろの背景を逐次高度変換して見えなくなるという、迷彩のヘリコプターなんですよ。見えない戦闘ヘリという、そういうコンセプトなんですけど。これ確か、最初に思いついたのが15年くらい前だったと思うんですね。パト2が終わった直後に次はヘリコプターものを実写でやりたいなというときに、ステルスヘリコプターということですね。できるまで15年くらいかかったわけです。やろうと思った時は、見えないヘリコプターの話だから、安くできるだろうと思ったんですよ(笑)
 
Q:見えないからですか?(笑)
 
監督:見えないから(笑)。ところが、実際にやってみると大変な手間暇で、ただ何となく消えればいいというものではなく、テクノロジーが感じられるような消え方というんですかね。結構、CGと相談して、いろいろ頑張ってやっています。どこで見えなくなるのか、どこで現れるのか、という意味で「灰色の幽霊」という名前をつけたんですけれども。グレイゴーストというのは、実は僕の好きな犬の名前でもあるんですけれどもね。ワイバラガーという犬で、灰色の犬なんですけれども、灰色の幽霊って呼ばれているんですよ。そういうようなこともあったりして、グレイゴーストに関しては昔から思い入れが結構あったりして。ジョジョさんが実戦で作って来てくれた時には、本当に感動しました。嬉しかった。もしかしたら、ガイバーが出来た時よりか嬉しかったかも(笑)。見てわかる通り、彼はヘリコプターは魚だという、そういう主義なんですけれども。クジラですよね、それかシャチか。見えないものをどうやって表現するか、それが今回の演出上の1つのテーマになっています。
 
Q:15年越しでやりたかった、消えるヘリコプター。それについて、宮下さん。
 
宮下さん:押井監督ファンならおそらくご存じの攻殻機動隊の光学迷彩がアニメだったんですけれども、そのCGをやったチームと同じチームがその流れで実写で光学迷彩をオムニバスジャパンのVFXチームががんばって作ってくれていまして、まだまだ磨きをかけていけると思うので、公開を楽しみにしていただければと思います。
 
Q:これ以上磨きがかかるんですか?
 
宮下さん:本番は4Kでやりますんで。DOLBY ATMOS+4Kという両方で、公開する劇場はそんなに多くはないと思いますが。4Kというのは、今の画像の4倍の面積の高画質になるんですけれども、押井さんにそういうフィールドを、4KでDOLBY ATMOSと、あとは任せたよ、ということで撮ります。
 
Q:だそうですよ、押井さん。
 
監督:4Kも嫌だったんですけれども。(笑)僕は技術的なチャレンジというのは好きなんですけれども、本当を言うと自分でやるのは嫌なんですよね。誰かに最初にやってもらって、2番手で楽にやりたいと。ただ、今回はなぜだか両方とも1番手にやらなくいけなくなっちゃって。まあ、4KでDOLBY ATMOSというと2重苦ですよね。どちらも大変な作業となりますので。ただ、まあ、映画というのはどっかしら技術的なシナジーがないと面白くないと思っている部分があったりして、今回は迷彩以外にも色々新しい絵作りを考えてやっております。今回は、ちょっと持ってこられなかったんですけれども。もしかしたら、僕は光学迷彩よりそっちの方がもしかしたらイケるのかなと。
 
Q:宮下さんもうなずいていらっしゃいますが。
 
監督:ちょっと新しい合成をやったんですけれども、これは結構イケるのかなと。ちょっと見には気づかないくらい渋いんですけれども。
 
Q:渋い?
 
監督:渋いというか、それだけよくできているんですけれどもね。それをちょっと試してみました。それもある意味で言えば、日本でもしかしたら初めてかもしれない。まあ、そういう意味ではいろんなテーマがてんこ盛りな映画となっています。
 
Q:それを聞いていたら、それは何だと聞きたくなるのですがそれは言えないので、また次の映像に参りましょうか。最後の映像、こちらはとても短い映像になっています。30秒間なんですけれども、DOLBY ATMOSの効果が今まで以上に発揮されているシーンだそうです。ご覧ください。
 
(上映)
 
Q:本当に不安になるように、ヘリがぐるぐるまわっているのがよくわかりましたね。
 
監督:やはり見えないものの恐怖が演出上のテーマなんですけれども。DOLBY ATMOSというシステム自体を演出に入れましょう、という。見えないものをなんとか見ようと努力するというか、お客さんと登場人物が同じレベルになる、そういう演出をあっちこっちやってみました。
 
Q:DOLBY ATMOSを使うから、この演出を入れようと?
 
監督:4Kだったらこういう表現があるだろう、というのと同じですね。さっき言ったように、映画というのは技術によって変わるものですから。その技術をどうやって演出に取り込んでいくのかというのは監督のお仕事なので。今まで通り作って、それが4Kだ、ATMOSだというふうにはいかないので。映画の作り方自体が少し変わってくるというのは当然あると思います。
 
Q:宮下さんも、日本で初めての試みの作品に参加したわけですけども、今改めて映像を見ていかがですか?
 
宮下さん:たぶん4KもATMOSも技術として格段に良くなっているということ以上に、突き詰めるとだんだんリアルに近づいているだけだと思うんですね。なんとか、今まで5.1CHだけで音を伝えようとしたり、2Kの映像でリアルを伝えようと努力をしていたことが少しずつ本物に近づいていっていると僕は思うので、何気ない、なんでもない場面で、その4Kが、あるいはDOLBY ATMOSがすごく生かされていて、気づかないけれど、何だか自然に感じるというようになるといいのではないかと思っています。
 
Q:確かに、今30秒間と短いものでしたけれど、観ているとその場にいるような、ものすごく自然に感じるような雰囲気、演出、そういうことですね。まだまだ長編劇場版は鋭意制作中ということなんですけれども、お二人から改めて今日せっかく来ていただいた皆様に、見どころなんかをご自由に話していただけたらと思うのですが、まず宮下さんからお願いできますか。
 
宮下さん:まず、今公開されている8話9話の5章、あと6章・7章と続きます。12話まで続きます。ここに来ていただいているお客さんは皆さん優しい方で、これまでのシリーズも観ていただいていると思います。本当に皆さんのようなファンでいていただいているおかげで、パトレイバーがうまくいっていると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 
Q:では、押井監督
 
監督:(宮下さんの話は)全然映画の見所になっていないじゃないですか(笑)。シリーズの宣伝じゃないですか。ただ、シリーズと映画は全然別の物ではないんですね。確かに、映画のスタイルはかなり変わっている部分もありますけれども。特に、7章というのは映画へのブリッジというか、ステップボードになっている話なんですね。言ってみれば、はっちゃけたシリーズからどうやってシリアスでタイトでヘビーな映画につないでいくのかという。それはシリーズの構成を考えているときから色々やっていたんですけどね。実は、あのバカみたいなコンビの話ですとか、赤いレイバーですとか、どっかしらそういうことの予行演習だったりするんですよね。蜂谷って何者なんだ、とかも含めて、シリーズは映画への長い長い映画への序章でもあったりする。キャラクターにとって、特殊部隊、隊長を入れて7人ですが、あの連中がある種避けがたく、どうしても避けて通れない戦いに向かっていかざるを得ない、どっかで見た風景だな、きっと先代たちもこういう夢をたどったんだろうという、そういう風に感じてもらうためにも、シリーズってどうしてもやらなくてはならなかった。1本の映画では表現しきれない。ですからシリーズ12本と1本の映画というのは一つの形としてやらせていただいたし、それはプロデューサーをはじめえらい人たちも分かっていただけていると信じています。映画は単にシリーズの総決算だというわけではなくて、シリーズの最後を飾る作品なんだと理解しています。あの7人がどう変わっていくのか、どのように運命に立ち向かっていくのか、わりと重たい話になっています。ただし、あくまでパトレイバーだって難しい顔して作っているわけではなくて、ケタケタ笑いながら楽しんで作りました。主人公たちやキャラクターたちも、根がいい加減な連中ですから、どっかしらいい加減ですから。いい加減な連中の意地みたいなところ、ここだけは譲らないという最後の意地みたいなものを映画の方で、たっぷり演じてもらいました。これから撮る、姿の見えない、まあこれから撮るんですけど、第5の女性の運命が一番気になっています。この後しゃべればしゃべるほどやばくなってくると思われるので(笑)。
 
Q:そろそろストップしますね(笑)。監督自身、やばくなるとおっしゃっていましたが、聞けば聞くほど来年の劇場公開が楽しみになってきたところで、今日の特別フッテージ上映を終了させていただきたいと思います。皆様、今一度大きな拍手でお送りください。押井守監督、宮下プロデューサーでした、ありがとうございました!

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