10/23(木)、CROSSCUT ASIA『先生の日記』の上映後に、ニティワット・タラトーン監督のQ&Aが行われました。
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Q:まず、一言ご挨拶いただければと思います。
ニティワット・タラトーン監督(以下、監督):みなさんこんにちは、私はニティワット・タラトーンです。今回は参加できてとても嬉しく思います。よろしくお願いします。
Q:日本はもう何度もいらっしゃってるんですか?
監督:10回ほど来てます
Q:東京だけではなくて?
監督:いろんなところです。東京、大阪、京都、北海道、箱根などです。
Q:どこが気に入りましたか?
監督:東京が一番好きですね。いろんな美術館もあって、楽しいです。
Q:前の作品の『フェーンチャン ぼくの恋人』という作品も日本で公開されましたが、その時もいらしてましたか?
監督:そのときも来ました。普通の映画館でも上映されたそうで、その時私とほかの監督と、女優さん、役者さんも来てます。
Q:非常に自然が豊かな場所ですけれども、これはタイのどの辺の場所なのかということと、それからご自身で脚本も書いておられますが、先生のモデルになった方とかいろんな方に取材をしてこういう物語ができたのでしょうか?
監督:最初の質問、どこで撮影したかということですけれども、ペッチャブリーというところです。バンコクからちょっと南のほうに、それほど遠くないところです。
本物の話が二つありまして、ひとつは、本物の先生がいます。いかだの学校で教えている先生。生徒が4~5人しかいない。もうひとつは、自分の友達でもあるプロデューサーがある日、日記を見つけて、その日記の持ち主を探しに行きました。そして話を聞いたら、最終的にその日記を交換していた二人が愛し合って結婚したそうです。
Q:そういうエピソードを組み合わせたということなんでしょうね。
あえてこの学校を舞台ということで、水上の分校というのを選んだ理由というか、意図についてと、あと水上学校というのはかなり取材をされたのかというのをお聞かせ願いませんでしょうか。
監督:いかだの先生の話しを聞いて、インスピレーションがあがって、それでその先生と出会っていろいろ取材しました。例えば映画の中の蛇や嵐の事等は本当にあったことだそうです。だけど映画ということでアレンジして、楽しくしました。
Q:タイではこういう水上学校というのは、割と比較的あちらこちら地方、僻地にはあるものなんでしょうか?主演の二人だけでなく子供たちの簡単なプロフィールなども教えていただければと思います。
監督:最初の質問なんですけれども、こういう学校は多分タイで唯一だと思います。最初に聞いたときも、もうびっくりするというか、感心、感動したことを覚えています。
二つ目の質問なんですけれども、主人公の本業は歌手です。いろいろ舞台の経験はあって、テレビの出演もいっぱいありますけれども、ただ映画はこの作品が最初です。女優さんの方はタイではとっても有名な女優さんです。子供のキャストなんですけれども、映画に出たことない人ばっかりです。300~400人のオーディションをして、あとは一ヶ月くらいワークショップをして仲を良くさせて、こういう風にかわいい演技ができるようになりました。
Q:この映画をお作りになった際に、技術的に一番、テクニカル的に苦労された点を教えてください。また水上でのシーンということで、撮影機材の固定ですとかクレーンですとか、結構ご苦労されたんではないかと思うんですが、そのあたりのお話と、監督からのメッセージというのをお願いいたします。
監督:いかだや水が多いところでの撮影ということですが、実は今回我々はすごくラッキーでした。現地の人たちが手伝ってくれたわけです。例えば一番象徴的なのは、学校の前の木がありますよね。それはもともとあった木ではなく、作った木なんです。この木が欲しいけどどうやって作るかわからなくて、村のひとたちのアイデアで成功することができました。あるおじいさんが来て、こういう風にやったらこの木が映像になるんだよというのを教えてくれました。
テーマというか、メッセージは二つありまして、ひとつは「お互いにインスピレーションを与え合う」ところにあります。映画のストーリーをご覧になった通り、最初に女の先生が自分の日記を書いて、ただの日記なんですけれども、実はその日記は男性の先生にインスピレーションを与えたわけですね。会ったことない人なんですけれども、途中でまた男性の先生が日記を書いて、女性の先生にインスピレーションを与え合うというところにあります。もうひとつは教育です。子供にチャンス・機会を与えるのはとっても素晴らしいことです。どうすれば遠いところに、今先生になっている、これから先生になろうとしている人たちをそういう遠いところに行かせられるかということをイメージして作った映画、メッセージとして観る人に訴えたいと思います」
Q:では最後に一言コメントをいただいて締めたいと思います。
監督:今回は非常にあたたかく歓迎されて、とても嬉しく思います。もしこの映画に感動したら、いっぱい友達に話して、そしてぜひぜひ29日にもう一回見に来ていただきたいと思います。