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2014.10.27
[イベントレポート]
「この映画は、実際は私についての映画です。」コンペティション『マイティ・エンジェル』10/24(金):Q&A

 
mightyangel

©2014 TIFF

10/24(金)、コンペティション『マイティ・エンジェル』の上映後に、ヴォイテク・スマルゾフスキ監督とプロデューサーのヤツェック・ジェハックさんのQ&Aが行われました。
作品詳細
 
 
Q:観客の皆様にご挨拶をいただけますでしょうか。
 
ヴォイテク・スマルゾフスキ監督(以下、監督):皆さんの中に「お酒に依存しているかも?」また「身内にそういう人がいるかも?」という方がいらっしゃいましたら手を挙げてください。
 
Q:二人ほどいるみたいですね。
 
監督:特に手を挙げてくださったお二人、よくいらっしゃいました。後の皆様は、どうもおめでとうございます。
 
Q:ありがとうございます。ジェハックさんも一言ご挨拶いただけますか?
 
ヤツェック・ジェハック(プロデューサー):皆さんこんにちは。私は日本に来たのは初めてなんです。スマルゾフスキ監督は二回目なんですけれども、話を伺いますと日本での滞在というのが記憶にずっと残るようなものだったようなので、とても楽しみにしています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
監督:(ヤツェックさんに)手を挙げなかったんですね(笑)
 
Q:この作品はポーランドで著名な作家の方による原作があるわけですけども、スマルゾフスキ監督がこの本を映画にしようと思われたいきさつなどを教えていただけますでしょうか?
 
監督:ピルフの小説を初めて読んだときは、特に気に留めたりはしませんでした。その後生活を送る中で、私生活でも仕事でも色んな出来事がありました。それで、ある日プロデューサーのヤツェックが、同じ本を持ってきた時に、急に恋に落ちてしまったんです。
 
Q:どの部分に恋に落ちたのでしょう?
 
監督:「時間」です。時間というのは、どちらかと言えば直線的なものだと思いますが、本の中ではそれがまったくなかったというところに恋に落ちてしまったんです。観客の皆さんもそうだと思いますが、主人公も、時間は実は直線的なものであると意識し始めたときに、本当に治療し始めるきっかけになると思います。
 
Q:私の勝手な解釈ですが、自由とは政治的、あるいは社会的、宗教的な自由ではなく、個人の思考の問題として捉えられるのではという視点に注目しました。その点で、監督の真意はどこにあるのかをお伺いしたいです。
 
監督:この映画は、実際は私についての映画です。私のすべての映画をひっくるめて言うと、孤独についての作品ばかりです。自由という概念とは、私は関係ないと思っています。「孤独」なんです。でも誰にでも自由に生きられる権利がありますよね。私からも皆さんに質問があります。主人公イェジーが、絶対にお酒をやめられると思う方、手を挙げてください。
ポーランドではお客さんの3割が手を挙げました。3割の方が、絶対に成功する、やめられると信じているんです。
 
Q:監督ご自身が手を挙げるかどうかとお伺いするのは野暮でしょうか?
 
監督:もちろんです。私自身が挙げて、そのように仕向けようとするのはいかがなものかと思いましたから。
 
Q:なぜこの雰囲気の映画で「マイティ・エンジェル」というタイトルにされたのですか。
 
監督:原作の小説のタイトルがまったく同じなので、僕のアイデアではありません。でも、実在しないバーと強いお酒の狭間という風にお考えになってもいいと思います。その中で、天使を見つけ出すことも可能でしょう。
 
Q:やはり希望がこめられているタイトルと解釈したいですね。
 
監督:でも私は全然そう思っていないんです。ごめんなさい。私の次の作品は“憎しみ”というタイトルなんですよ。
 
Q:スタイルについてもお伺いしたいと思います。やはりビジュアルスタイルが圧倒的で、特に最初に「時間」とおっしゃったのがズバリだと思いますが、輪を描くような時間のつながりが細かい編集技術によって構築されていました。この作品に対し、試行錯誤のもとにこのスタイルを見つけられたのか、最初から想定されていたのかを教えていただけますか?
 
監督:「時間」に対する見せ方・スタイルは脚本の段階から決めていました。様々な季節で撮影をしていたんですが、役者の感情の盛り上がりを一定に保つように努力しました。私にしては始めの方は軽く、穏やかな感じにしようと思っていたんです。あとは出来事の連続の中で、観客の皆さんが錯乱状態に陥って、何が何だかわからなくなるようになればいいなと思っていました。できるだけ戸惑いを感じながら、その何が何だかわからなくなる観客の皆さんをできるだけ流れに巻き込めればいいと思って。見ていただいて「まだ飲んでいてもいいのか?もうやめた方がいいのか?」と考えていただければと思います。一杯目から二杯目に手を伸ばすのにどれくらい時間が経ったのか…。元々は小説なので、実在する人と実在しない主人公が出てきたり、混乱を極めます。カフカ等いろんな作家も中に出てきます。
 
Q:今の編集のお話にもちょっと近い話かもしれないんですけれども、カメラアングルがやっぱりすごい印象的で、苦労された点など教えてください。
 
監督:私にとってはすべて簡単でしたけどね。しかし実際にキャメラマンが主人公から30センチしか離れていなかったんですね。できるだけ近くにいたいなという気持ちが強かったので。主人公が座っていたときは問題ないんですけども、主人公が動き始めたときはキャメラマンにとってはそれは大変だったと思いますけどね。
 
Q:キャスティングについて伺いたいです。役者さんをどのように決めましたか。
 
監督:私は基本的には存在しているんだけれども演じない俳優が好きです。幅広く演じるのではなくて、静かに半音階でやれる人が好きです。でもそれはとても個人的な見解なんですね。私にとっては半音階であっても、隣の人には全然半音階には見えないので。そういった意味では非常に個人的なことだと思います。キャスティングについてもひとつ大事なことは、顔に人生が刻まれている人が好きです。以上です。
 
Q:ありがとうございます。本当にシンプルで的確で深いお言葉ありがとうございました。監督とプロデューサーに大きな拍手をお送りください。どうもありがとうございました。
 
監督:皆さん、ありがとうございました。

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