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2014.11.10
[イベントレポート]
「監督のシナリオを読んで、これはパーフェクトだと思いました。」コンペティション『マルセイユ・コネクション』-10/26(日):Q&A

 
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©2014 TIFF
左からジル・ルルーシュさんとセドリック・ジメネス監督

10/26(日)、コンペティション『マルセイユ・コネクション』の上映後、セドリック・ジメネス監督と俳優のジル・ルルーシュさんのQ&Aが行われました。
作品詳細
 
 
セドリック・ジメネス監督(以下、監督):「ボンジュール トウキョウ」(拍手)。私にとっては初めての東京です。東京にこうして来ることができてとても嬉しいです。また今回の上映はアジアでは初めての上映でして、こうして私たち二人とも日本に来るのも初めてなので本当に嬉しいですし、多くの方にこうやって集まっていただいてありがとうございます。
 
ジル・ルルーシュさん(以下、ルルーシュさん):まだ電話やカメラが普及していないみたいで残念ですね。今のはフランス流のユーモアです。
 
Q:ジル・ルルーシュさん、意外なことに初来日ということで、日本の印象はいかがですか?
 
ルルーシュさん:日本に来ると考えただけでもすごく興奮しました。子供のころから日本に来ることを夢見ていました。日本の文化がとても好きですし、また日本の近代化もとても好きです。また日本の方々はとても映画好き、シネフィルでいらして、日本はフランスの映画をとても素晴らしく迎えてくれている国です。そういうフランスと日本の文化の絆というのは特別なものがあります。ですから、日本にこうして来ることができてとても名誉に思います。
 
Q:ありがとうございます。監督に最初お伺いしたいのですが、これが長編二本目で、内容の素晴らしさは後に語っていただくとして、どうして、2本目でこれだけ大規模なサスペンススリラーを撮れるようになったか、この作品の起源を教えていただけますでしょうか?
 
監督:ありがとうございます。このタイトル、このテーマ自体は、私はとてもよく知っているテーマです。と言いますのは私自身がマルセイユの出身なのです。この映画に出てくる多くの人物たちも、私が知っている人たちからインスピレーションを受けていたり、あるいは、実在している人たちです。マルセイユの世界というのは私も出身だけによく知っていますし、それから今回の制作はゴーモンというとても経験豊かな制作会社で、私に信頼を寄せてくれたのでとてもやりやすかったです。また、俳優たちも非常に有名な俳優、ジルさんやジャンさんですね、こうした大物俳優と一緒にやることは容易でした。私を助けてくれましたし。ですから、とても楽しく制作し、監督することができました。
 
Q:ジルさんは役の話が来たとき即決だったのですか?
 
ルルーシュさん:初めてこういう役をやるにあたって、マーティン・スコセッシの作品を思い出すのですけれども、「いつかはギャングスターをやってみたかった。それを夢見ていた」という『グッドフェローズ』の映画の中である台詞があるのですけども、実は私もその気持ちでありました。この役をやるにあたってはいくつかの点、ファンタズムと私は呼んでいますが、空想が重なってきたわけです。一つはこういう役をやってみたいという気持ち、それからこのシナリオが素晴らしくよくできていたということ。フランスではこういう刑事ものとか、フィルム・ノワールというのは日の光を浴びないというか、あまりよく思われていない時期もあったのですけれども、監督のシナリオを読んで、これはパーフェクトだと思いました。ヒーローも素晴らしいですし、他の登場人物たちも素晴らしく描かれていると。そして、自分の役は別にしてでも、自分がその映画を選ぶときに何が理想的かと考えてみますと、やはり物語がいいかどうか、それから他の人物像たち、登場人物がよく描かれているかどうかということです。そういうことを考えてみますと、このセドリックの才能というのは本当に輝くものがあると感じました。シナリオを読みながら、感激が止まることなく集中して読むことができましたし、この役をやることは、すごくわくわくするとともに、ちょっと怖いところもありました。というのは、今までこういう悪役を他の俳優さんが素晴らしく上手に演じていましたので、それと同じようなコピーになってしまわないだろうかとか、あるいは風刺みたいになってしまわないだろうかと、ちょっと心配したのですが、監督の才能のおかげで本当にいい役を演じることができました。それは監督のおかげです。
もう一つ付け加えたいのは、この監督のシナリオには非常に大切な次元があるということです。それは観ていただいて分かるのですが、それは善悪について、悪は悪、法律は法律というふうにきっちり分けて描いていない。もっと人間的な部分を入れて悪でもなくまた善でもなくという曖昧なところも入れているというところですね。私の人物像も見て分かるのですが、家族を通してすごく人間的な部分が描かれています。家族に対してはとても誠実であるとともに、非常に不誠実であって嘘をついたり、それから非常にバイオレントであったり嫌なやつであったりというその両面が出てきています。ですから俳優としてこの役を自分のものとして擁護する、良いと思ってやるとともに嫌だと思ってやるというその両方の気持ちを持つことができて、質の高い人間性を表している作品なので、これはとてもいい作品だと思っています。
TheConnection

©2014 TIFF

 
Q:先ほど、スコセッシの『グッドフェローズ』のことに触れられていたのですが、この映画を作られるにあたって、スコセッシの映画や他のノワール映画で参考にされた部分があるのではないかと思うのですが?
 
監督:もちろん私はスコセッシ監督の映画のファンですし、この映画のリファレンスとして考えると、たくさんあると思います。もちろん、70年代、80年代のアメリカ映画、コッポラの作品やスコセッシの作品や、それからフランスの映画でも70年代やその少し前の60年代でこういう刑事もののすごく質のいいものがありました。メルヴィルとかヴェルヌイユとか、アラン・ドロンが出たり、ジャン=ポール・ベルモンドが出たりという、すごくいい作品がありました。それらをこの映画を作るにあたって見直したというわけでないのですけれども、私はそれを観ながら子供時代から成長してきました。ですので、内的な影響があると思います。
 
Q:この作品の中で一番気に入っているシーンはどれですか?
 
ルルーシュさん:段々キャリアを積んでいくに従って、自分が恐ろしいと感じるものに惹かれていくところが私にはあります。何だかわくわくする、でもちょっとかなり怖いな、というようなものに面白さを感じます。俳優のモーター、動力というのは、そういう恐れではないかと思っています。ですから、この映画の中での私が、演じる上で恐ろしいと感じたシーンというのは、同僚の一人に無理やりコカインを飲ませ、吸わせるという場面がありまして、そこがとても私にとっては恐ろしい、そして複雑な場面でありました。演じながら怖いと感じるとともに、とてもすごく興奮するような感じを持ちましたね。だから面白かったです。
 
監督:私自身はこの映画のシナリオをすべて書いて監督したわけですから、好きなシーンは多くあります。ですから自分が一番好きなシーンというよりは、かなりうまくできて感動したシーンを挙げたいと思います。一つは電話ボックスの中のシーン。それからもう一つはタニーが逮捕されるシーン、そして判事が死ぬシーンと3つを挙げたいと思います。それぞれの場面は、失敗すると映画がうまくいかない大切なシーンで、うまくいって本当によかったと思っているシーンです。ですから、それらは、自分が一番好きだったかどうかはともかくとして、とてもよかったと思っているシーンですね。
 
Q:もう一人の主演でしたジャン・デュジャルダンさんのご印象を。特にジルさんは以前恋人同士の役もやられていらっしゃったようなので、いかがでしたでしょうか?
 
ルルーシュさん:ジャン・デュジャルダンと共演するのは不思議な感じです。ジャンとはとても親しいのです。一緒に映画に出演することもたくさんあるのですが、現場で会わないままに同じ映画に出ているということもあります。それが不思議な感じです。6~7年ぐらい前からとても近い友人でして、今回も2人で演じるシーンがもちろんありまして、そのときは監督と一緒に10時間ほどは友人をやめるということをしました。お互いに話しもしない、顔も見ない、それまでの友人関係とは断絶して演じました。とても不思議な、マジックのような感じがしました。映画というのはそういうもので、私は実生活で優しい人間なのですが映画の中では悪役を演じ、私とジャンは親しい友人なのに映画の中では敵対すると。そういう映画のちょっと分裂症的なところが私を不思議なところへ誘ってくれて、それがまた面白いです。
どんなことがあったとしても、素晴らしい才能を持った人と共演できるということはとてもラッキーな恵まれたことだと思います。私の人生はとても恵まれていて、良いパートナー、才能あふれるパートなーと共演するチャンスを何度もいただきました。才能あふれる監督、才能あふれる俳優たちと一緒にやることで自分自身も高みへと引き上げられていきます。
 
Q:それでは、監督のジャン・デュジャルダンさんについてのコメントを聞いて最後にしましょう。
 
監督:ジルの方がジャンのことをよく知っているので、私は手短にお話します。私はもともとジャン・デュジャルダンのことは知らなかったのです。でもこうして映画で会って、非常に自分の仕事に情熱を傾けていて、一生懸命になさる方です。偉大な俳優です。私も自分の仕事には集中する方なので、とても気が合いました。ジルもそうですし、チームとうまく溶け合って、本当にみんな一生懸命映画のためにやっているという雰囲気があってとても良かったです。
 
Q:ずっとお話をうかがっていたいのですが、本当に申し訳ありません。時間が来てしまいました。ありがとうございました!
 
ルルーシュさん:みなさんとこうして過ごすことができて、本当に嬉しかったです。そしてとても光栄に思います。

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